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夏のラノベレビュー(76)とある飛空士への夜想曲/僕の妹は漢字が読める

ここ最近、積みラノベの紹介をしていたが、
今回は話題作から2作品。

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とある飛空士への夜想曲(上)犬村小六(ガガガ文庫)
僕の妹は漢字が読める かじいたかし(HJ文庫)

あらかじめ言っておく。最高と最低であると。

【とある飛空士への夜想曲:上】
名作「追憶」のスピンオフ作品。

主人公は帝政天ツ上の撃墜王「千々石武夫」。
「追憶」ではファナを乗せた海猫を追い詰めるも返り討ちに遭う。
本作「序章」はこの時系列からスタート、天ツ上視点で描かれる。

もうね、この「序章」の時点で凄い。
凄い面白い。面白くて仕方ない。さすがと言わざるを得ない。

【一章・ユキ】
千々石の少年期の物語。
サブタイに冠されるユキは、千々石が出会った少女なのだが、
彼らが出会う舞台がまた素晴らしい。

戦艦島。

これにはモチーフがあって、戦前日本に存在した軍艦島
現存する長崎県端島の姿をネットで見たことがあるが、
是非とも一度、この目で見てみたいと思うほどの廃墟。
この地を舞台とした物語を、飛空士シリーズで読めるとはもはや驚嘆に値する。

【二章・美空】
天ツ上の国民的歌手、美空。表紙絵右と言えばわかりやすいか。
千々石と美空の邂逅が二章前半のメイン。
人間味あふれる千々石が実に面白い。

美空は千々石に分かりやすいくらいベタ惚れで、
千々石もそれを自覚しているにも関わらず踏み切ることはない、
本シリーズの肝とも言える、空と恋の物語が素晴らしい。
千々石が選んだのは美空より海猫への執念。

そして空戦。
言うまでもなく旧日本軍をモデルに描かれた戦いは実に熱い。
熱いのだが、この時点でライバルキャラがいないので、
そこまでのカタルシスは得られなかったのがちょっと残念。
その意味では、絶望的な戦いを強いられていた「恋歌」がまさに圧巻すぎた。

「狩乃シャルル」
「貴様が空の王となるのだ」

おおおおぅ……。
「追憶」本編以来、徹底的に伏せられてきた名前が遂に登場。
ここで上巻了。

相変わらずの引き、例によってあとがきが存在しない独特の余韻。
下巻も発売日購入せざるを得ない。

【僕の妹は漢字が読める】
> 「きらりん!おぱんちゅ おそらいろ」
> それは、現代日本文学を代表する作家オオダイラ・ガイの最新作だ。

タイトルだけで話題になった超奇作。
23世紀の日本、漢字文化は消失し、二次元美少女が首相を務める世界。
もっと端的に言えば、それなんてエロゲ?
が「正統派文学」な世界で、主人公の妹は失われた「漢字が読める」――という話。
端的に言えば、予想以上の酷さ

設定の時点で狂ってるのに、劇中に何度か現れる
「正統派文学」のテキストには正直、反吐が出る思い。
なんだろう、他人様の脳味噌ダダ漏れを見てしまった、みたいな。
なにが「おにいちゃんのあかちゃんうみたい」だ馬鹿野郎。
普段の俺だったらいいぞもっとやれ位のことを言いそうなもんだが、
さすがにげんなり。

しかもこんなものを「とある飛空士への夜想曲」の後に読んでしまった絶望感。
挙句、理屈がわからないタイムスリップはするわ、
結局「妹は漢字が読める」設定は、ろくすっぽ本編に絡んでこないわ、
もはやなにがなんだか。
これだけ破綻したストーリーで売れてしまった事自体、
日本文学の将来(むしろ現在)を危ぶまざるを得ない。

続刊も出そうな気配だけれど――正直、お勧めはしない。
こんなものを買うくらいなら「飛空士」シリーズを2冊買え。以上。



「漢字が読める」は本気でお勧めしない。買うならブックオフで100円で

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